8ミリ通信No.7 平成12年(2000年)12月1日発行
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 この秋、高校時代のクラブの旧友たちと、当時の顧問の先生をたずねようと長野県須坂市への旅に出た。
旧友とも、その先生とも二十年以上も顔を合せていないので、少しわくわくした気分であった。
 敦賀で拾ってやるというので、久々にハンドルを握らなくてもいい旅で”車中後部席にふんぞり返る人”となり、車は一路北陸自動車道を北上した。
 さてと、地図はどこにとたずねるがそれに答えた指先の向こうには最新型らしきワイド画面のカーナビが赤や青の道筋を描いている。と、突然「前方分岐を右方向です。」と可愛い女性の声が聞こえてくる。カーナビはアメリカ国防省の軍事用衛生人工衛星の5個の内、3個をちゃっかりかどうか知らないが利用して車の現在位置を判断する車載型電子的女性発声進行方向説明板であることは知識としては持ってはいたが実際のところ目にするのは初めてである。これまで分厚いロードマップの置き場所に困っていた方や、方向オンチの方には重宝するアイテムであろう。現在の日本地図のもととなったのは今から二百年程前、造り酒屋の婿養子から幕府の天文方、高橋至時へ弟子入りした伊能忠敬が作成したものに始まる。彼は御歳五十六歳から実に二十年の歳月をかけて日本全国三万五千キロを歩き、完成させた。それが今、こうして薄っぺらいDVD1枚に集約され、縮尺も拡大も自由自在で街角のコンビニまで表示してくれるとは。
 車の性能がアップし、自動車道が整備され、情報案内が変移した。かつては国道沿いの食堂やドライブイン、はたまた交差点のかどの小売店で道をたずねることでその目的以外にも多くの情報が得られ、「アンタどこから来たん」と土地の訛りで声をかけられ、旅の重さや醍醐味を感じていた。それが少なからず減少して行くようでさみしい。
 未来のカーナビが標準語だけでなく、その土地訛りの発声をしてくれれば少しは旅の面白さが増すかもしれない。帰路、五百キロ、そんな事を考えながら後部席から前方を見つめていた。
                            8ミリ通信No.7 page,1
 
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2009-04-03 15:15 | 8ミリ通信No.7 | Comment(0) | Trackback(0)
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