8ミリ通信No.6 オススメ映画百景 その1
『八月のクリスマス』

 これは難病にかかった主人公が死ぬ映画である。この種のものは今まで数知れず創られたと思うが、おそらく99パーセントまでが死にゆく主人公と恋人や家族との関わりを通して描き、死という悲しみを強調して同情の涙を誘うといったスタイルなのである。
つまり主人公対恋人、あるいは家族といった相対的な描き方を通常はするものなのだが、この映画は主人公の死に対する絶対的な内面を描き切って成功している。もちろん女性との恋愛を軸に、家族のことも描いてはいるが、女性とは一つ傘の中に肩を寄せ合うくらいで、ろくに手もつなごうともせず、家族に対して難病の苦しみを吐露するわけでもない。実に淡々と日常を繰り返すだけなのである。暗さは殆どない。主人公がいつも浮かべている笑顔にこちらが戸惑うくらいである。病気に関しても薬を飲むシーンと、病院の出入りがあるだけで医者とのやりとりなど一切ない。
表向きにはかなり抑圧されて描写されているので、却って映画全体に緊張感が漲り、同情の涙などではない主人公の絶対的孤独感が伝わってきて感動する。
 感動は必ずしも涙だけではない。人間の死は確かに悲しいことではあるが、避けては通れない宿命にある以上、生きてきた人間のプロセスを思いやる優しさこそが大切なのだと、この映画は外面は慎ましく内面は凄まじく描いている。
 余談ながらこの映画の撮影監督は、撮り終えた後亡くなっており、この映画を撮影監督に捧げるといったテロップが入っている。撮影監督にはその予感があったのかもしれない、と思わせるほどの映像である。

『八月のクリスマス』 (韓国 '98年公開作品)
監督:ホ・ジノ
脚本:オ・スンウク
   シン・ドンファン
   ホ・ジノ
撮影:ユ・ヨンギル
出演:ハン・ソッキュ、シム・ウナ 他
8ミリ的学生生活のススメ

 長いように見える8ミリフィルム1巻がわずか3分数十秒でしかないように、私の長いはずの4年間の大学生活はあっという間に終わった。
 ここでは現在、学生である人々に自主製作映画を8ミリフィルムで作ることの意義について(あくまで個人的に実感した意義だが)述べたい。
 簡単で安上がりなビデオがあるのに何故フィルムか。「仕上がりの違いなんてフィルムの方が映画らしいだけ」と考える人は多い。そして「それだけの手間がかかる上に3分2000円以上の出費はバカらしい」ということになる。確かにもっとも、しかし敢えて「手間がかかる上に」という点を考えたい。
 ピントに気を使い、露出を計り、照明を置く。こうした、ビデオでは必ずしもやらないで撮れる作業が必要になる。当然人手も増えるし、1カットごとの時間もかかる。これらは確かに手間だろう。だがこの手間が皆の知恵と熱意のこもった1カットをフィルム1コマずつに焼きつける、フィルムならではの緊張感を生む。
 そして本番、ダマったままのビデオとは違うフィルムの走行音、この瞬間にわき上がる「俺は映画を撮っている」という実感、映画のロマンがあるのだ。ビデオではこれ程には味わえないものだ。
 仕上がってしまえばビデオもフィルムも少しの違いかもしれない。しかしその製作途中にある、たとえ小規模でも、たとえ難しい技術など知らなくても、間違いなく実感できる「映画のロマン」。これを時間だけはいくらでも作れる学生にこそ、味わってほしい。
 きっと「こいつはたまらん」と思えるから。    
   
8mm6no11_convert_20090123114538.jpg
(立命館大学卒・I)
                            8ミリ通信No.6 page,6
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2009-01-19 17:00 | 8ミリ通信No.6 | Comment(0) | Trackback(0)
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