8ミリ通信No.9 我が愛しの”にじゅっせいき”
〜「カオティック・バタフライ」制作秘話〜


 20世紀も終わろうという頃、わたしは不慣れな作業を日ごと続けていた。8ミリフィルムの編集。それは一寸不思議な気のする出来事だった。
 このハイテクの時代、デジタルの時代に、白手袋をはめて、僅か8ミリ幅のフィルムを切っては繋ぎ、切っては繋ぎしていた。
スプライサー・テープに付着するホコリを気にしつつ、何度も思ったものだ。これは一体どういう巡り合わせナノ・・・。
 しかしわたしは、フィルムの質感に執着した。”はちみり”について全く無知であったわたしは、ひと通り編集の手順を教えて貰い、機材一式を借り受けた。そして、あの、幾度も息の止まる思いのする編集の日々は始まった。
 なんといってもわたしが一番恐ろしいのは繋いだフィルム映写機にかける時だ。
ONしてリーダーを差し入れ、カリカリカリと巻き付いて心地よい音がしたらホッとする。ところが、差し入れて程なくガガガガと鳴ったら、わたしの心臓は一瞬止まり、髪が逆毛立つ。リーダーは見事にしわくちゃ。映写機のコンディションによるのか、わたしのやり方がまずいのか、結構な頻度でコレは起こる。(その度にわたしの心臓に負担がかかった)
 コレも慣れると素早くスイッチをOFFにすればいいのだから、少々リーダーがクシャッとなったところで、さほど問題は無いのだが。慣れていなかったころは酷かった。1度わたしはガガガガというあの魔の音が鳴り響いた時、焦燥と混乱のあまり、咄嗟にリーダーを引きちぎってしまったことがある。まぁ今となっては笑い話だが・・・。そんなに焦らなくてもいいではないかとお思いかもしれないが、理由がある。
実はそれ以前にリーダーを付け忘れてフィルム映写機にかけてしまい、1テイクお釈迦にしてしまうという恐ろしい事件があって、それが完全にトラウマになってしまった。(リーダーを付け忘れる!?そんな馬鹿な、とまたしてもお思いかも知れないが・・・でもあったんですそんな馬鹿なことが。)
 と、まぁこんな散々な思いをしたわたしであったが、悪くない気分だった。というよりもスコブル良好と言った方が正しい。
何故か。
 20世紀の終わりに、言わば20世紀前半のカオリのするモノたちを相手に遊んでいる、もしくは没頭している。カウントダウンの只中で、我が愛しの”にじゅっせいき”を、こういう形でいとおしむことが出来た事は、わたしにとって思いがけない事であったし、それ故一層、感慨深くもあったからだった。完パケまでの道のりはまだ遠かったがこうして20世紀は暮れた。

9_04a_convert_20100929112623.jpg


『カオティックバタフライ』はこんな作品

9_04c_convert_20100929112516.jpg

 一匹の蝶のひと舞で生じた微風が嵐を引き起こすまでを描いた奇想天外なコメディ。買い物帰りの平凡な主婦ゆうこは一枚の宝くじをいたずらな風に奪われてしまう。やがてそれは意外な人物のもとへ。吹けば飛ぶよな看板描き、犬を連れたひと、くたびれた男がヴォーカルのバンドが風の仕業によって描かれる人間模様の面白さは絶品。

8ミリテレシネ作品 33分】
 昨年、DV素材にテレシネ作業した作品がこの度完成し、完成作品が編集部へ届けられました。ご覧になりたい方は当工場までお問合せ下さい。

8ミリ通信No.9 page,4
スポンサーサイト



2010-09-29 11:45 | 我が愛しの"にじゅっせいき" | Comment(0) | Trackback(0)
Comment
コメントを書く
#

管理者にだけ表示
Trackback
Trackbak URL:http://old8mm.blog49.fc2.com/tb.php/123-dff5b196
09
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--