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8ミリ通信No.8 平成13年(2001年)7月1日発行
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けなげに咲く道路沿いの夾竹桃香しきは8ミリフィルムの匂い

 振り返って見れば幼少の頃、我が家の茶箪笥にひと巻きの印画紙を発見した事に始まる。写真屋でもなく、親戚にもそんな系統のない家にこんなものがあったことは今もって謎である。
 日光写真や水写真に興味をもっていた私にとってこの偶然な出会いは、今思えば人生を決定づける大きな要因となったかも知れない。その時の少し湿っぽく、ほのかな感光剤の匂いは今でもはっきりと脳裏に焼きついている。
 中学生の頃、初めて撮るシングル8フィルムの匂い。高校生の頃、先輩の家で写真の引伸しを徹夜してした挙げ句、現像液をひっくり返し畳に滲みついた匂い。撮影助手時代、マガジンに装填する三十五ミリムービーフィルムの匂い。写真館住み込み修業時代の現像、定着液の匂い、臭いにまみれた暗室作業。これまでの人生の大半をそんな匂いとともに生きて来た。
 時代が進み、ビデオカメラによる仕事が多くなり、現場で匂いを感じることも極端に少なくなって行った。無機質なビデオテープでの仕事をひととおり続けて見たものの私の感性には合わない何かがいつもあった。それが、今ようやく「匂い」だということに気づいた。
 「匂い」の記憶は面白い。路地裏や街角、乗り物や映画館など、生活のあらゆる場面でなつかしい匂いを嗅ぐことがある。同時にオーバーラップして映像の記憶が呼び起こされる。そこには、幼少の頃、恐い爺さんの住む近所の風景であったり、となり町の祖母の家へ行くボンネットバスの中だったりする。そして五感の次々へ連鎖反応を続け、体験した光景を眼前に見せてくれる。映像の記憶は決して視覚や聴覚だけでは成り立っていないことを認識する。
 8ミリをもう一度始めようとしたのはその匂いの記憶を辿ろうとしたことではなかったのか。ようやくとり戻した8ミリフィルムの匂いが、今はこの上なく心地よい。日々接する酢酸分解したフィルムの”臭い”が、私にとっては”匂い”なのかも知れない。
                                                                               8ミリ通信No.8 Page,1
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2010-04-05 15:50 | 8ミリ通信 No.8 | Comment(0) | Trackback(1)
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