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8ミリ通信No.7 文豪パロディシリーズ (2)
『老人と8ミリ

 かれは年をとっていた。
琵琶湖に小舟を浮かべ、ひとり8ミリキャメラで魚を撮って日をおくっていたが、ワンカットも撮れない日が八十四日もつづいた。はじめの四十日はひとりの撮影助手がついていた。しかしワンカットも撮れない日が四十日もつづくと、撮影助手の友人らは、もう老人がすっかり”ミゾグチってる”のだといった。”ミゾグチってる”とは撮影スタッフ用語で最悪の事態を意味することばだ。
撮影助手は友人らの忠告にしたがい、ビデオキャメラを担いでべつの船に乗りこんで撮影に出かけ最初の一週間で、みごとな魚を三カットも撮り上げた。老人が来る日も来る日もワンカットも撮れずに帰って来るのを見るのが、撮影助手にはなによりも辛かった。かれはいつも老人を迎えにいき8ミリキャメラや三脚などをしまいこむ手伝いをしてやった。老人と同様に老いて傷だらけになった8ミリキャメラではあったが、その姿にはいつか最高のショットを撮るという、永遠の執念が漲っていた。                        (Arayotto,Hennaway)
                                 8ミリ通信No.7 page,2
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2009-05-08 10:35 | 連続小説.2 | Comment(0) | Trackback(2)
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