■8ミリ通信No.6 表紙
■8ミリ通信No.6 編集後記
■8ミリ通信No.6 工場長のワンポイント・アドバイス
■8ミリ通信No.6 クリエイトビデオ
■8ミリ通信No.6 オススメ映画百景 その1
『八月のクリスマス』
これは難病にかかった主人公が死ぬ映画である。この種のものは今まで数知れず創られたと思うが、おそらく99パーセントまでが死にゆく主人公と恋人や家族との関わりを通して描き、死という悲しみを強調して同情の涙を誘うといったスタイルなのである。
つまり主人公対恋人、あるいは家族といった相対的な描き方を通常はするものなのだが、この映画は主人公の死に対する絶対的な内面を描き切って成功している。もちろん女性との恋愛を軸に、家族のことも描いてはいるが、女性とは一つ傘の中に肩を寄せ合うくらいで、ろくに手もつなごうともせず、家族に対して難病の苦しみを吐露するわけでもない。実に淡々と日常を繰り返すだけなのである。暗さは殆どない。主人公がいつも浮かべている笑顔にこちらが戸惑うくらいである。病気に関しても薬を飲むシーンと、病院の出入りがあるだけで医者とのやりとりなど一切ない。
表向きにはかなり抑圧されて描写されているので、却って映画全体に緊張感が漲り、同情の涙などではない主人公の絶対的孤独感が伝わってきて感動する。
感動は必ずしも涙だけではない。人間の死は確かに悲しいことではあるが、避けては通れない宿命にある以上、生きてきた人間のプロセスを思いやる優しさこそが大切なのだと、この映画は外面は慎ましく内面は凄まじく描いている。
余談ながらこの映画の撮影監督は、撮り終えた後亡くなっており、この映画を撮影監督に捧げるといったテロップが入っている。撮影監督にはその予感があったのかもしれない、と思わせるほどの映像である。
『八月のクリスマス』 (韓国 '98年公開作品)
監督:ホ・ジノ
脚本:オ・スンウク
シン・ドンファン
ホ・ジノ
撮影:ユ・ヨンギル
出演:ハン・ソッキュ、シム・ウナ 他
これは難病にかかった主人公が死ぬ映画である。この種のものは今まで数知れず創られたと思うが、おそらく99パーセントまでが死にゆく主人公と恋人や家族との関わりを通して描き、死という悲しみを強調して同情の涙を誘うといったスタイルなのである。
つまり主人公対恋人、あるいは家族といった相対的な描き方を通常はするものなのだが、この映画は主人公の死に対する絶対的な内面を描き切って成功している。もちろん女性との恋愛を軸に、家族のことも描いてはいるが、女性とは一つ傘の中に肩を寄せ合うくらいで、ろくに手もつなごうともせず、家族に対して難病の苦しみを吐露するわけでもない。実に淡々と日常を繰り返すだけなのである。暗さは殆どない。主人公がいつも浮かべている笑顔にこちらが戸惑うくらいである。病気に関しても薬を飲むシーンと、病院の出入りがあるだけで医者とのやりとりなど一切ない。
表向きにはかなり抑圧されて描写されているので、却って映画全体に緊張感が漲り、同情の涙などではない主人公の絶対的孤独感が伝わってきて感動する。
感動は必ずしも涙だけではない。人間の死は確かに悲しいことではあるが、避けては通れない宿命にある以上、生きてきた人間のプロセスを思いやる優しさこそが大切なのだと、この映画は外面は慎ましく内面は凄まじく描いている。
余談ながらこの映画の撮影監督は、撮り終えた後亡くなっており、この映画を撮影監督に捧げるといったテロップが入っている。撮影監督にはその予感があったのかもしれない、と思わせるほどの映像である。
『八月のクリスマス』 (韓国 '98年公開作品)
監督:ホ・ジノ
脚本:オ・スンウク
シン・ドンファン
ホ・ジノ
撮影:ユ・ヨンギル
出演:ハン・ソッキュ、シム・ウナ 他