映画キャメラマン
田端 仁憲 アジアのスーパースター、
ブルース・リー。彼に心を奪われてから二十五年が流れてしまった。
一九七四年「燃えよドラゴン」が上映され日本中が「ドラゴン伝染病」にかかってしまった。私もその一人であった。毎日外に出ては電柱を蹴り壁をチョップして痛い思いをしていた。いったいこの男は誰なのだろう?それがわかるまで時間がかかった。”李 小龍”香港が生んだアジアのスーパースターだった。
しかし彼は死んでいたのである。謎の死だったのだ!これがまた私にとってますます深みに嵌まることになる。いてもたってもいられなくなり一直線に香港に行ったのである。まず空港に着くやタクシードライバーに彼の家の住所を渡し直行したのだ。ここだ!ここだ!私は写真で見た彼の家の前に立っていた。
ブルース・リー夫人はアメリカに戻り生活していたため家は他人に渡り修理していた。庭には彼が使用していたバスタブやトイレやトレーニング用品などがゴミとして積まれていた。
その中に日本庭園の朱い橋があった。私は知らないうちにその橋をかついでいたのである・・・